コダックがラインナップに戻したリストのなかに、目を引くものがあります。100フィートの長巻きです。フィルム代が上がっていくあいだに、ひっそり忘れられていたものです。

何が戻ってきたのか

直販ラインに入ったもの

  • Ektapan 100 · 400 · 4×5シート、100フィートロール
  • Ektacolor Pro 160 · 400 · 4×5、8×10シート
  • Tri-X 320 · 4×5、5×7、8×10シート
  • Tri-X 400 · 100フィートロール

2025年9月のKodacolorから始まった整理が、ひと区切りつきそうです。アラリスが担っていたスチル用フィルムの流通がイーストマン・コダックに移り、今回は大判と長巻きまで加わりました。

コダック Tri-X 400 35mm 100フィート長巻きの箱。 コダック Ektapan 400 35mm 100フィート長巻きの箱。
100フィートで戻ってきた2つのモノクロフィルム。左がTri-X 400、右がEktapan 400。© Eastman Kodak Company. 報道目的の引用です。

100フィートで何本になる?

ここからが実用的な話です。100フィートは約30.5メートル、1,200インチです。

36枚撮り1本を巻くのに、リーダーまで含めて65インチ前後かかります。割り算すると36枚撮りで18本ほど。24枚撮りで短く巻けば25本までいけます。

1本あたりの値段を100フィートの価格から逆算すると、市販の1本売りの半分から3分の2くらいまで下がります。どこまで下がるかはその時々の為替と輸入価格しだいなので、ご自身で計算してみるのがいちばん確かです。

コダック Tri-X 320 4x5シート10枚入りの箱。 コダック Ektacolor Pro 160 4x5シート10枚入りの箱。
4×5シートも10枚単位で戻ってきた。モノクロはTri-X 320、カラーはEktacolor Pro 160。© Eastman Kodak Company. 報道目的の引用です。

必要なもの

長巻きを詰めるための道具

  • バルクローダー · 100フィートロールを入れて、好きな長さだけ巻き出す道具
  • 空のパトローネ · 再利用できるタイプが便利。使い終わったフィルムのパトローネを開けて使うこともある
  • 暗室かダークバッグ · ローダーに最初にフィルムをセットするときだけ必要。あとは明るい場所で巻ける
  • テープ · フィルムをスプールに留める。はがれにくいものを選ぶ

ローダーは一度買えば長く使えます。中古でもよく見かけます。最初のセットだけ暗いところで済ませれば、あとは難しくありません。

ラボに出す前に確かめること

自分で巻いたフィルムをラボに出すとき、気をつけたい点がいくつかあります。

DXコードがありません。再利用パトローネには感度を読み取る銀色の格子がないか、元のフィルムのコードが残っています。カメラが感度を読み違えることがあるので、手動で合わせましょう。

ラボにどのフィルムか伝える必要があります。パトローネに何も表示がないので、出すときに種類と感度を書き添えておくと安心です。油性ペンでパトローネに書いておけば、お互いラクです。

撮れる枚数がまちまちです。巻いた長さによって37枚撮れることもあれば、34枚で終わることもあります。枚数で料金を決めるラボなら、事前に聞いておいてください。

どんな人に向いている?

1年に3、4本しか撮らない人にはおすすめしません。100フィートを使い切る前にフィルムが劣化してしまいます。冷蔵保存しても、モノクロで数年が目安です。

月に2、3本以上撮って、同じフィルムを使い続ける人なら元が取れます。モノクロを自家現像する人ならなおさらです。Tri-X 400が100フィートで戻ってきたのがうれしいのは、そのためです。

Tri-X 320で撮ったモノクロの建築写真。コンクリート面の階調が広く残っている。
コダックがTri-X 320の製品ページに載せた作例。© Eastman Kodak Company. 撮影者の表記はありません。報道目的の引用です。

フィルム代を抑える新しい方法ではありません。フィルムをたくさん撮っていた時代には当たり前の選択で、その時代の道具がまた作られはじめた、ということです。