2026 FIFA ワールドカップが幕を開けた今週、フィルムの世界でも小さな開幕戦があった。イルフォードの親会社ハーマン テクノロジー(Harman Technology)が5月27日、フットボール・コレクターズエディション2種を出したのだ。ISO 400 モノクロの代表選手 HP5 Plus と、クロモジェニック陣営の XP2 Super である。
限定版の正体
まずはっきりさせておく。中のフィルムは何も変わっていない。乳剤も感度も現像方法も、いつもの HP5 Plus と XP2 Super のままだ。パトローネにも限定版の表示はない。変わったのは紙の箱ひとつ。その箱に、サッカーをフィルムで撮る写真家マイルズ・マイヤースコフ=ハリス(Miles Myerscough-Harris)のモノクロ写真が刷られた。
Expired Film Club という名前
彼はインスタグラムと TikTok では Expired Film Club の名で知られている。合わせて250万近いフォロワーが、彼のフィードでヴィンテージのフィルムカメラで撮った NBA、メジャーリーグ、スヌーカー、テニス、そしてサッカーを見ている。100年を超えるパノラマフィルムカメラを持ってオールド・トラッフォードへ行き、マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプールの試合を1890年代のやり方そのままで撮ったエピソードでも有名だ。
ハーマンのセールスディレクター、ジャイルズ・ブランスウェイト(Giles Branthwaite)は「ワールドカップを前に、サッカーファンだらけの会社として、マイルズと一緒にサッカーの熱気を祝いたかった」と発売の背景を語った。限定版とはいえ、世界中のフィルム販売店を通じて今後数か月にわたって供給される。韓国にも入ってきている。
同じISO 400、違う現像ルート
今回のエディションが選んだ2本の組み合わせが面白い。同じ感度のモノクロだが、現像のルートが違う。HP5 Plus は伝統的なモノクロ現像(自家現像派にとって永遠の基本)、XP2 Super は C-41 のクロモジェニックなので、カラー現像所ならどこにでも出せる。モノクロを始めたいのにモノクロを扱う現像所が遠いなら XP2 が答えで、薬品の匂いまで含めてモノクロだと信じる人には HP5 がある。ワールドカップを口実に、二つのルートを並べて試してみるのにちょうどいい組み合わせだ。
パッケージだけが違う限定版をどう見るかは、いつも意見が分かれる。ただ今回のエディションは向きがはっきりしている。フィルムでスポーツを撮る写真家の写真が、そのフィルムの顔になった。シャッターを切る理由がひとつ増えたなら、箱は役目を果たしたことになる。どうせ箱は開けるためにあるもので、中の36枚はいつもの頼れる ISO 400 なのだから。
資料出典
PetaPixel、Kosmo Foto、Digital Camera World、Amateur Photographer、ILFORD Photo 公式資料。
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